心は憂い夕を吐いて

つらつら綴る。

米津玄師 / 私が大好きな音楽 3

1つ目、2つ目はこちら。

止まらない米津さん愛。

米津玄師 / 私が大好きな音楽 1 - 心は憂い夕を吐いて

米津玄師 / 私が大好きな音楽 2 - 心は憂い夕を吐いて

 

  • きっかけ
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  • ライブ ※今回はここから
  • これから

 

  • ライブ

本当に幸運だと思うけど、色々とご縁があって、かなり参加できている。 以下簡単な感想。しかし生活圏がバレるな…(東海県民)

 

2015「花ゆり落ちる」*1名古屋@E.L.L

記念すべき初米津さんライブ。「帰りの会」は名古屋抜きだったので、米津さんにとっても初名古屋かな?今思うと、あのキャパ*2で聞けていたことが幸せだ。ドーナツホールから始まり、ボカロ曲多目のセトリ。グッズ売り切れで買えず*3凹みまくったが、ライブが始まり、全て忘れた。それくらい良かった。

 

2016「音楽隊」*4名古屋@Zepp Nagoya

まずはライブ前の一悶着。この日にドンピシャで東京出張が入りそうになったことは忘れもしない。確か、ライブの一週間前に東京本社から電話で出張要請が来たのだ。数ヶ月前からチケットを取り、指折り楽しみにしていたライブ。それをたった一本の電話に奪われるとは。当時の私は真面目で、会社からの要求にはまず応えねばならないと思っていたので*5、楽しみを潰された絶望で会社で泣いた(本当)。日々粛々と仕事をこなしている私*6が泣き出したことは上司にも衝撃だったようで、上司経由で出張は免除になった。有難い。これに懲りて今はいっそ休みを取ることにしている…

「花ゆり」と違い、ボカロ少なめのセトリ。アルバムを引っ提げてのツアーなだけに、アルバムからの採用が多かった。「ホープランド」からの「Blue Jasmine」は涙が止まらない。米津さんの曲に対する思いを聞くと余計に。本当に行けて良かったと思ったライブ。nekochanパーカーは手に入らなかった*7

 

2016「はうる」*8名古屋@Zepp Nagoya

「KARMA CITY」からの「amen」の流れが好きだった…かいじゅうずかん*9に付いている「love」を初めて聞いた時の感動。確か発売前だったから全く初見だったような。聞いたことがない音楽にこんなに心が動かされるんだなと思ったのを覚えている。

 

2017「RESCUE」東京のみ@国際フォーラム

たった2日間しかないライブ。私はだいぶ気合いを入れて臨んだので確保したが、グッズは瞬殺で売り切れたようだ*10。初日に参加した私にとって、何よりも最高だったのは初披露の曲を多く聞けたことだ。全世界でこの空間にいる人たちしかまだ知らない音楽を、聞けている贅沢。それに係る演出も最高だ。何の前振りもなく曲が始まり、モニターに初音ミクが映った*11瞬間、未発表の「砂の惑星」と気付き、沸いた。それもミクver.よりも先にセルフカバーを聞くことになるとは。新曲やります、とサラリと新曲*12を突っ込むのも良かった*13。ファンどうし示し合わせた訳でもないのに皆でピースサインを掲げたあの光景には鳥肌が立った。

 

2017「Fogbound」名古屋@国際会議場

アルバム「BOOTLEG」を提げたツアー。確か発売翌日からだったような。私が行ったのは後半だったので、相当聞き込んだ上でライブに臨んだが、初日ならそれはそれで斬新に楽しめたのではないかと思う。アルバム曲多めで、それ以外はメジャーどころが多かったセトリだった。「LOVE」や「ゆめくいしょうじょ」の映像は儚く美しく、ライブ会場にいることを忘れてしまうような、しっとりとした空気に包まれていた。majogariトートは作りが良く、一泊の旅行に重宝する*14。腕のデザインがしっくり来ず買わなかったBOOTパーカーは買っておけば良かったと後悔している。

 

2018「Fogbound」東京のみ@日本武道館

米津さん初めての武道館2Days。私も初めて武道館に行った。米津さんとともにどんどん大きな会場にライブに行くようになっている…。Twitterで知り合った方と現地で初めて会い、ライブへ。結果、めちゃくちゃ楽しかった。リアルな*15友人と行くのも悪くは無いけれども、その人が同じ温度感で好きとも言えないし。そしてそう思うのは、大体こちらの温度が高い時なんだよなあ。引かれるんじゃないかとか、誘った手前置いてけぼりにするとは申し訳ないとか、そういうことを考え出すとどこか楽しみ切れないというか。そういうことってない?その点、私にとってTwitterは同じ趣味を持つ人と繋がる場なので、心置きなく楽しめた。そして私が参加した2日目、なんと菅田将暉くんが…いらっしゃった…!遠かったけどイケメンだったなあ。そしてあの場の光景を肉眼で見れたこと、そしてそれが映像化されたのが嬉しすぎて…Lemon*16は家宝。

 

2018「Flamingo」幕張のみ@幕張メッセ

どんどん大きくなる会場。ご縁があり、開催された2日間とも参加することができた。今回も幸い同行者あり*17。一曲目の「LOSER」で登場してきた時、初日の(米津さん)「はーい(緩さ全開)」が最高に格好良かった。シングル「Lemon」以降初めてのライブだったので、カップリングもセトリに入る贅沢さ。当時未発売の「Flamingo」のシングル収録曲もセトリ入りしていた。「TEENAGE RIOT」のモノクロMVが映像に流れ、本人を見たいのにMVも見たいジレンマに襲われたし、まだ限られた人しかメロディが分からない中*18カップリング「ごめんね」で観客にコーラスを要求する米津さんが可愛かった*19。でも一番印象的だったのは、檸檬の香りを感じながら聞く「Lemon」だ。今日あるものが明日には消えてしまうみたいな、そうして何事も絶えず変化していくんだということを、檸檬の香りに気づかされて、だからこそあの日・あの場所で感じることは美しいのだと思った。

 

2019「脊椎がオパールになる頃」@サンドーム福井幕張メッセ

紅白を経て初めてのライブ。福井は同行者の都合がつかず、一人での参加*20。しかしSNSで交流していた方とグッズに並び、ライブでは隣りあわせになった同じく一人参加の方と楽しんだ*21。福井で何よりも良かったのは席。なんとステージ左側の最前列だったのだ*22。私と米津さんを隔てるものは何もなく、これ以上の席は今後も人生に於いてもうないんじゃないかと思うくらいの距離感。米津さんのギターの指使いがこの目で見られた。

 そしてライブとは直接関係ないが、あくまで個人的な記録として残したいこと。実はこのツアーで人生で初めてファンレターを書いた。「福井は恐竜博物館が有名です」とか、「いつかツアータイトルの意味を教えてください」とか、当たり障りのない話題。ライブ前にBOXに入れた。そしてその日のライブのMC、恐竜の話題が出たときはご当地MCだー手紙にも書いたなーと思って聞いていた。でも米津さんが「そういえばツアータイトルの意味って話してなかったけど…」と言った時、本当にびっくりした。嘘か真か、米津さんはライブ前にもファンレターを読んでくれているという噂がある。偶然と言われればそれまでだが、もしかしたら…と都合よく思うことにしている。

3500字を超える長文記事になってしまっているが、最後に幕張を。幕張は3月10日、米津さんの誕生日のチケットを押さえることができた。ブロックはかなり後ろ。福井と違ってモニターを見なければ米津さんの表情は窺えない距離。でも大好きな人の誕生日に(一緒に過ごしたい人はきっといるだろうに)、一緒の空間にいられることが幸せだった。ライブ本編が終了したときに、モニターにスタッフからのサプライズ誘導が出た時の会場の一体感も素敵。アンコールで米津さんが再び登場した時、この広い会場でこれから起こることを知らないのは米津さんだけなのだと思うと抑えたくてもニヤニヤしてしまう。そして始まったハッピーバースデー。少し照れたような、でも喜んでいるように見える彼を見ながら、彼の見ている風景の1つになれてよかったなと思った。

 

  • これから

これからもきっと私は米津さんを追い続けると思う。その熱量は、きっと初めて米津さんの曲を聴いた時そのままだ。いわゆる世間に対して米津さんが「バズった」のは私はLemonだと思っている。そして私はその数年前から運よく米津さんを見つけることが出来ていて、そのことに対してマウントを取りたくなるような気持ちも、正直ある。遠くへ行きたいと望んでいた*23米津さんが、実際にこれまでよりも広く遠い場所で活躍していることを、誇らしく思う一方で、少しだけ寂しく思う気持ちもある。初めて出会ったのは名古屋のライブハウスだったのに、と。最近のMCでも触れられているが、きっとこうした感情は米津さんが望まないものだろう*24。でも米津さんは、彼の音楽を船だとすると、そこに乗り込んでいる人を誰も取り落としたくない、と言っていた。米津さんはもっと遠く、広い場所に出ていく人だ。私はきっとこれからも彼の生み出したものの美しさに驚き、愛し、そして寂しくなるのだろう。でも私はそうした思いを抱えながら、米津さんがその船に乗せてくれる限り、そこにいたいと思うのだ。

 

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*1:シングル「Flowerwall」に掛けている(=Flower "fall" )と思われる

*2:600人?

*3:ラババンが売り切れるというまさかの事態。可愛かったものな…指輪も人気色は完売。その後のネット販売も秒殺で完売した

*4:アルバム「Bremen」に擬えた?

*5:今でも概ね、従っているが

*6:有難い事にそう評価してもらえていたらしい

*7:後日受注生産で手に入れた

*8:恐らく「LOSER」=負け犬の遠吠え(=howl)から

*9:米津さんが雑誌で連載していたもの。架空のかいじゅうを描く

*10:確か通販も実施されていない

*11:恐らく投稿されたMVとは色が反転していたように思う

*12:春雷、fogbound

*13:ライブ終わりはセトリでプレイリストを組むのが常だが、当時の未発表音源が多すぎて完成しなかった

*14:以来の遠征はこれで行く

*15:学校や職場で出会う

*16:初回限定版

*17:うち、2日目はまたしても初対面

*18:ライブ前に”F/T秘密基地”という視聴イベントがあった

*19:とりあえず流れに任せて反応した

*20:こういう時にチケット代が無駄にならないトレードは便利だ

*21:その後、この方とは幕張でもお会いできた。こうしてお付き合いが続いていくのは本当に嬉しい

*22:いわゆる1列目ではなく、X列端だったのでステージ形状的に最前列になった形

*23:米津さんの歌詞にはこの言葉がよく登場する

*24:こうした趣旨の発言を耳にすると話し、「そんなこと言わないでほしい」と話していた

米津玄師 / 私が大好きな音楽 2

1つ目はこちら。

止まらない米津さん愛。

米津玄師 / 私が大好きな音楽 1 - 心は憂い夕を吐いて

 

  • きっかけ
  • シングル・アルバム別ベスト

        ※今回はここ

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「Blue Jasmine」/「Bremen」2015収録曲

アルバムの最後の曲。砂漠や荒野を「あなた」と希望を胸に歩いていくようなイメージ。大切な人を思い浮かべて、じっくり聞きたい曲。生で聞いた時に涙が止まらなかった。同アルバムにおける個人的次点は「シンデレラグレイ」。いつかライブで聞きたい。

Blue Jasmine

Blue Jasmine

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「amen」/「LOSER」2016収録曲

ヨーロッパの真夜中のような。タイトルは勿論、歌詞にもキリスト教がバックグラウンドにあると感じる。実際、「亡霊」「九つの門」「炎」「雷」というワード。そして冒頭の鐘の音。A面LOSERのMVは本人が踊っているまさかの演出、そしてこれはその衝撃をさらに上書きするカップリングと思う。

amen

amen

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥250

 

「ララバイさよなら」/「orion」2017収録曲

まず本人も言及しているが、音数がかなり少ない。そして、それが良い。「どうせ誰もが皮の下に髑髏を飼って生きてんだ」という表現が好き。大袈裟になるが、この死生観が色んなものに対する私の気持ちをサラリと楽にしてくれる感じがする。

ララバイさよなら

ララバイさよなら

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥250

 

砂の惑星」/2017配信のみ*1

マジカルミライテーマソングとして書き下ろされた曲。米津さんがハチとして久しぶりに書いた曲で、当時「王の帰還」と話題になった。その期待を裏切らず、「マトリョシカ」「パンダヒーロー」という自身の曲の他、「メルト」「千年桜」といったボカロの人気曲の引用が見られる。一方でMVは砂漠と化した(かつては栄えていたと見られる)惑星を、初音ミクが先頭を切って歩いていく様が描かれている。当時を知る者としては正にボカロ界の現状*2を描写しているようで切ない気持ちになった。いつか一曲全体レポしたい。

砂の惑星 feat.初音ミク

砂の惑星 feat.初音ミク

  • ハチ
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  • ¥250

 

「Moonlight」/「BOOTLEG」2018収録曲

このアルバムは名盤だ。選び難いが、強いて選ぶとすれば。米津さんが最後に追加した曲で、アルバムコンセプトとも重なる。曲調はしっとりと大人な曲。色気、というより官能。決してプラスな感情ではないんだけど、でも確かに私も持っている感情を表現してくれている気がする。絶望、というと安っぽいな。私が居なくても世界は回るし、私がすることは他の人もするし、じゃあ何もかもどうなったって、みたいな。*3この曲はそう思ってしまうこと自体を肯定してくれているような感じがする。

Moonlight

Moonlight

  • 米津玄師
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  • ¥250

 

「Paper Flower」/「Lemon」2018収録曲

米津さんの大ヒット曲のカップリング。現代美術館みたいな、コンクリート打ちっ放しの建物に一人で佇んでいるような気分になる。サビの高音が好き。米津さんの、こういう非現実的な感じのする曲は漏れなくツボ。

Paper Flower

Paper Flower

  • 米津玄師
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「TEENAGE RIOT」/「Flamingo」2018収録曲

やっとここまで来た…自身が中学の頃作った曲のリテイク。となると、10年以上前?その頃にこんな曲を作っているのが只々凄い。FlamingoでLemonからのイメージを塗り替え、2曲目に聞き心地のいい、ロックナンバーを入れてくる、このバランスが好き。MVのマイクパフォーマンスが眼福。

TEENAGE RIOT

TEENAGE RIOT

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥250

 

やっとシングル・アルバムを列挙出来た…次はライブ。だけど、ここまで来たらしっかり書きたいので、また記事を分けることにする。

*1:ハチ名義

*2:あるいは当時聞いていた人たちの心情

*3:そういう気持ちになるのって私だけかな

ムレスナティー

数年前、口にして衝撃を受けた飲み物がある。

 

岐阜県岐阜市にあるannon tea houseで頂いた、ムレスナティーだ。

 

セイロンのムレスナ社独占茶葉でもある、ヌワラエリヤF.B.O.P(フラワリー・ブロークン・オレンジ・ペコ)茶葉にスイスの有名香料メーカーのナチュラルフレーバーを合わせることにより、苦味、渋味が少なく身体に優しい、香り豊かな紅茶をお届けします。*1

 

私がランチで頂いたのは紅茶とマフィンサンドのセット。

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数年前なのに既に「映え」ている。

 

セットのお値段2,200円。

紅茶単品なら1,000円*2

…こう書くと割高に感じる人がいるかもしれない。実際のところ、確かにチェーン店のカフェでは、1,000円もあれば食事とセットでお釣りがくる店もあるだろう。

 

だが、結果として私はこのランチにとても満足した。

 

まず、紅茶の淹れ方がとても丁寧なのだ。選び抜いたお勧めのフレーバーを、お店の方がじっくりと淹れてくださる。そしてそれを注いでもらいながら、お勧めの飲み方を教えてもらう。「ストレートで、お砂糖を少し入れて、ミルクを入れて」。飲み物として紅茶は好きだけど、どういう飲み方が合うのか分からない私には有難い。

そしてなんといってもこのお店の1番の特徴はモアティーフリーだ。

annon tea houseではお客さまに様々な種類の紅茶を楽しんで頂くため、100種類以上のムレスナフレーバーの中から数種類をセレクトしてご提供しています。もう一杯とカップも心も楽しく満たせるならば幸いでございます。1ターム2hを目安としたServiceとなります。全てのTEAメニューモアティーフリーでございます。

つまり一杯だけではなく、複数のフレーバーを楽しむことができる。全てお店の方の解説付き。そんなに飲めるかな、と心配になるのは初めだけ。注がれる紅茶はもれなく香り豊かで、美味しい。桃の紅茶やバニラフレーバーティーの美味しさに感動し、気づけば4・5杯飲んでいた。一杯が適量なので、お腹もあまりたぷたぷにならない。

実は以前私が別の店でフレーバーティーを飲んだ時は、香りが誇張されすぎて、あまり美味しいとは思えなかった。フレーバーティーに偏見があった私にとっては、自然な香りで、サラリと飲めるムレスナティーは大発見だった。

 

この店では完全に紅茶が主役で、メインディッシュとなるマフィンは脇役だ。それでも地産地消の野菜を使った料理は、流石というべきだろう、とても瑞々しく美味しい。お店の方は私たちに断りを入れて、どこの*3・どんな野菜かを教えてくださる。普段は好んで食べない野菜も、そうした話を聞くと、食べたくなってくるものだ。適度に振られたドレッシング*4や塩の塩梅も素晴らしい。栄養満点で、お店の雰囲気と合わせてゆっくり頂いていたら、すっかりお腹いっぱいになった。

 

冒頭辺りで値段について触れたが、ここで取り扱っている紅茶は実はネットでも購入できるし、探せば輸入食品店などに置いてあることもある。その分、恐らく安価に買うことも可能だろう。

それでもあえてこのお店で頂く理由。それはあの雰囲気の中で、プロの店員さんが丁寧に入れた紅茶を、そのお話に耳を傾けながら楽しむあの時間なのだ。この上なく贅沢な昼下がりだ。

 

個人的には財布の事情から、頻繁に通うことは出来ていない。しかし自分へのご褒美や、カフェ好きな友人を連れてよく訪問している。そうした意味では「お気に入り」のお店であり、飲み物だ。

 

岐阜に行く際は是非。いつも混み合っているので事前予約がベターだ。

 

annon tea house | アンノンティーハウス

 

 

今週のお題「お気に入りの飲み物」

*1:annon tea house HPより

*2:ホットストレートティー

*3:場合によってはどなたの作った

*4:確かこれもオリジナルと記憶している

米津玄師 / 私が大好きな音楽 1

林檎さんも嵐も大好きだ。

 

椎名林檎 / 私が大好きな音楽 - 心は憂い夕を吐いて

嵐 / 私が大好きな音楽 - 心は憂い夕を吐いて

 

ただどちらもファン歴としては10年超で、ここまで来ると、少し落ち着いて来る。新曲をフラゲ日に手にして、その他情報を毎日調べ漁る…ということは、前述のグループに関してはあまりしなくなった*1

 

が、そんな私がまさにリアルタイムで追いかけているのが、米津さんだ。当ブログのタイトルも実は米津さん(正確にはハチさん)の曲を拝借している*2。今や「Lemon」が大ヒットし、紅白にも出場、老若男女に名前が知られるところになったと思う。

でもその少し前から米津さんを知ることが出来た私に言わせれば、彼の魅力はそれだけではないのだ。もっともっと世の中に聞いて評価して欲しい曲があるのだ。

 

  • きっかけ
  • シングル・アルバム別ベスト

        ※この記事はここまで※

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  • きっかけ

米津さんを知ったのはMステのCMだったと記憶している*3。確か「リビングデッド・ユース」だ。携帯をいじっていたら聞こえた曲。「あ、好きな感じだ」とテレビを見たら終わっていた。画面に表示された米津玄師の文字を頼りに、すぐ音源を聞きに行った当時の私の行動力を我ながら褒めたい。米津さんがボカロPであるハチさんと同一人物と知ったのはそのすぐ後だ。大学時代死ぬほど聞いたマトリョシカやパンダヒーローを作った人と同じとは。他の曲も聞いてみよう、と聞き始めたら、びっくりするくらいすぐにハマった。誰に勧められた訳でもなく、好きな音楽とこんな風にふと出合うのは初めてだった。

 

  • シングル・アルバム別ベスト

初めは林檎さんや嵐のように5曲に絞ろうとしたのだが、本当に、選びきれない…ので、思い切って媒体ごとに私的にストライクな曲を紹介したい。誰得なのかと言われれば、ただただ私得だ。

 

「花束と水葬」/「花束と水葬」2010収録曲*4

可愛らしい声とメロディの裏で時たま響くカタカタという不気味な音。このアンバランスさが好き。自主制作の作品。アルバムのジャケットもシンプルで好きだ。この曲を視聴して良いと思う人には、同アルバムに収録されている「Persona Alice」「恋人のランジェ」もハマりそう*5

花束と水葬

花束と水葬

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「リンネ」/「OFFICIAL ORANGE」2010収録曲*6

MVが衝撃的。ハチ名義の曲の、目を逸らしたくなるような、残酷さを感じる曲がとても好きだ。個人的に、「ドグラ・マグラ*7」とかそういう類のものを読んでいる感覚になる。ボカロ曲ではChristmas Morgueも良い。

リンネ

リンネ

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「心像放映」/「diorama」2012収録曲

米津玄師名義。当時から彼を知っていた人が羨ましい。私だったらとんでもない人を見つけてしまったような気持ちになりそうだ。この曲は*8歌詞の言葉選びが秀逸だ。特に好きなのがこの言葉。「睫毛の下から絵の具のような心の一部が落ちていく」。「泣く」という行為をこんな風に描写出来るなんてどれだけ感性が豊かなんだろうと思う。

心像放映

心像放映

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「笛吹けども踊らず」/「サンタマリア」2013収録曲

お酒が大好きな米津さんらしい曲。それは確かに覚えてない!という所で思わず吹き出した。米津さんの歌詞にはよく「踊る」という言葉が登場するけど、徳島出身なところが影響しているのかなと思う。

笛吹けども踊らず

笛吹けども踊らず

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「ポッピンアパシー」/「MAN HEAD LOVE」2013収録曲

この曲のMVは手フェチには堪らない。電子音のピコピコした感じがどことなくボカロと似通っている感じがして好き。

ポッピンアパシー

ポッピンアパシー

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「花に嵐」/「YANKEE」2014収録曲

この疾走感のあるイントロが好きだ。初めて行ったライブ以来、ライブでは歌っていないはず。いつかまた生で聞きたい。冬から春に季節が移ろう頃に聴きたくなる曲。個人的に好きなのはベースライン。イヤホンを新調する時は、この曲の低音が気持ち良く鳴っているかどうかが基準だ。

花に嵐

花に嵐

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「ペトリコール」/「Flowerwall」2015収録曲

「これは夢かもしれない」という歌詞で始まる通り、夢の中にいるような曲。タイトルは雨が降った時に地面から上ってくる匂いを差す。霧が怪しく立ち込めて先が見えない中で、人ではないもの*9が彷徨いていそうな、雨上がりのしっとりとした情景が頭に浮かぶ。A面のFlowerwallは友達の結婚式に流れてたら100%確実に泣く。心が洗われる。

ペトリコール

ペトリコール

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アンビリーバーズ」/同シングル2015収録曲

真夜中の高速で聞いたらテンションが上がりまくる曲。MVの服装が私のどストライク。サビ前とアウトロで米津さんがタムを叩いているところがエモ格好良い。

アンビリーバーズ

アンビリーバーズ

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  • ¥250

 

長くなってしまいそうなのと、データが重くなりそうなので、この辺りで。

いつか全曲私見書きたいな…これを見て誰かが曲を聞いたり、米津さんを同じように好きな人が共感してくれるような内容になっていたら嬉しく思う。

 

*1:熱が無くなったという意味ではない

*2:リンネ

*3:調べたら2014年だった。もう5年も好きなのか

*4:ハチ名義

*5:とさらに曲をプラスするスタイル

*6:ハチ名義

*7:夢野久作

*8:この曲には限らないが

*9:米津さんが「亡霊」と呼ぶもの

嵐 / 私が大好きな音楽

まず初めに、私はジャニオタではないと思っている。一括りにしないでほしい*1、と言いたいのでは無くて、それを名乗れる程他のジャニーズグループ事情に詳しくないからだ。さらに言えば、嵐のメンバーへの知識も偏りがある。

私の所謂「推し」は大野くん*2であって、彼が所属する嵐だ。他の4人のメンバーも勿論素敵だが、きっと一般的な嵐ファンと比べると知識には乏しいと思う。そのためタイトルにはあくまで「嵐」と書きながら内容が偏りうることは容赦してほしい。

 

目次

  • きっかけ
  • きっかけ
  • 選び抜いた好きすぎる5曲
  • コンサート
  • これから

 

  • きっかけ

嵐を聞き始めたのも、高校生の頃だ*3。入り口は母だ。もっと言えば母がある日突然買ってきたベストアルバムだ*4。当時の私は邦楽ロックを愛していたので、ジャニーズ(鼻で笑う)的なテンションだったのを覚えている。が、それは初めだけ、成る程ベストなだけあってメジャーな曲が多いのだ。聞き馴染みのいい歌はいつしか口ずさむようになり、その後再び母が買ってきた通常のアルバム*5も嬉々としてiPodに取り込んだ。私は単純なのだ。思えばこの時はまだ箱推しだった。

 

更に大野智を推すことになったきっかけを重ねる。よく言う「堕ちた」という感覚はない。そもそも存在を意識したのは、我が家に母が嵐を持ち込んだ確か数ヶ月前と記憶している。彼が主演を務めていたドラマ「魔王」だ。凄く演技の上手い人と思った。特に泣き。始めはこの人もジャニーズの人なんだ、ふーんという程度。ただ嵐の楽曲を聞き始め、聞きやすい伸びやかな歌声をしていること、メインボーカルとしてここぞという箇所の歌唱率が高いことを知った*6。そのくせバライティーになると一転してかなり面白い。字が上手く、描く絵は繊細で、個展を開けば大盛況。大野智と調べると次々出てくる多才さに驚き、感心し、次第に目が離せなくなっていったように思う。

 

  • 選び抜いた好きすぎる5曲

本当に選び抜いた…。あくまで今日の気分で選んだので、明日選んだら絶対違う曲になると思う。

「Under the radar」*7

いきなりカップリング。嵐ファンではない人の読む気力が削がれていくのが想像できる。でも辞めない。この曲の1番の魅力は色気だ。コンサートで踊ってるのを見たくなる*8、電子音多めの曲。歌い出しの大野くんの歌声は安定すぎて惚れ惚れする。主演映画「忍びの国」の主題歌をA面とするシングルに収録されているのだが、カップリングも個性的で聞き飽きないので、嵐ファン以外にもお勧めしたい1枚。

 

「ユメニカケル」*9

またしてもカップリング。ピアノがイントロに流れる、綺麗で透明感がある曲。この曲に関しての私的最高ポイントは大サビ前のソロだ。さらに細かく指定するならコンサートでの生歌ver.だ。『未来へ紡いでゆく思いを』『空へと』と区切られるブレスが絶妙*10

 

「彼方へ」*11

アルバムの収録曲。航空会社のCMとかに使われそうな、爽やかな曲。大野担として推したいのは2番のサビ前。かなり難しい(と思う)フレーズを軽々と飄々と歌ってるのは流石。勿論それも良いんだけど、音源だけではこの曲の良さは完全に説明しきれない。この曲が最高なのはコンサート映像だ。特に5人それぞれが最後にフェイクを歌っている、その映像*12。フェイクを入れるメンバーを他の4人が見ながらわちゃわちゃしてるのが良い。可愛い。嵐らしい*13。嵐らしい嵐を見られる、ファンとしては堪らない曲。

 

「Miles Away」*14

アルバム収録曲。この曲には「under the supervision of Satoshi O.」と注が付く。というのも、このアルバムはメンバーが嵐の曲を1曲プロデュースする。大野くんはこの曲をチョイス。具体的には歌割りを決めたらしい*15。歌割りはかなり細かく、またそれまでの嵐からするとかなり意外な割りだ。相葉くんのファルセット、松潤のフェイク…意外だけどとても良い。まだ知られていないメンバーの持ち味を曲を通して訴えかけているようにも感じる。安定の大宮のフェイクの掛け合いは最高だし、翔くんのハモリは優しい。この曲は一番好きなので、いつか別記事で書くと思う。

 

「Take me faraway」*16

アルバム収録のソロ曲。大サビ前のフレーズが最高。音程の正確さ、声の伸び、しなやかな身体の動き、大野くんの良さがよく分かる曲。しっとりと夜に聞きたい曲。余談だけど、同アルバムのニノのソロ曲*17は、色気が最高なので是非見て欲しい。

 

  • コンサート

ファンクラブに入って10年になる。しかし自名義で今まで当たったことがなかった。知らないうちにブラックリストにでも入っているのかと思うほど*18。やっと活動休止発表後のツアーで自名義が当選した。これまでは友人の同行者枠でコンサートに参加していた。sceneツアーから有難いことに数回。コンサートは物凄く楽しいが、語彙力が馬鹿になるので今思い出して書くのは難しい。つぎのツアーはレポを書きたい。

 

  • これから

嵐がもうすぐ嵐としての活動を休止してしまう。あの発表からもうすぐ3ヶ月。当初はぽっかり穴が空いたような、でもそれを実感できなくて、理解をしようとするとただ涙が出て来るような感じだった。一旦足を止めてしまったとしても、「復活はある」という言葉を信じて待ち続けたい。最推しの大野くんには南の島でゆっくりと釣りを楽しんで欲しいし、心ゆくまで絵を描いて欲しい。そしていつか、どれだけ時が経っても構わないし、気が向いた時だけでもいいから、ふらっと戻ってきてほしい。そう思えるようになったのは本当につい最近だ。まだふとした瞬間に寂しくなって涙腺が緩んでしまうこともあるし、来たるコンサートでは号泣必至だろう。でも嵐が一旦活動を終えるその時までの時間を、大切に楽しみたいと思う。それが嵐ファンで嵐5人を幸せにさせることに繋がり、晴々とした気持ちで大野くんが夏休みを楽しむことにも繋がると信じて*19

 

電車でちまちま描いていたら、前回の投稿からかなり空いてしまった…そして長い。でも楽しかったので、またこのテーマでぼちぼち書こうと思う。

 

最後にとても好きな写真を。

 

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*1:つまり「ジャニオタ」という言葉を否定的に捉えている

*2:普段呼ぶ通りに

*3:自己紹介代わりに記事を書いたらルーツが大体この辺りになってしまう…

*4:All the BEST!1999-2009

*5:Time。良いアルバムだが、時系列的になぜDream"A"liveでなかったかは不明。たぶん母の好みだ

*6:最近の楽曲はそうでもないかもしれない。本当に上から目線だと自分でも思うが、曲によってメインを変えられる程5人ともかなり歌が上手くなった

*7:「つなぐ」2017カップリング

*8:確か未だのはず

*9:「愛を叫べ」2015カップリング

*10:本当にマニアックすぎる

*11:「untitled」2017収録曲

*12:DVDが出ているし、私は現場でも目に焼き付けた

*13:ブルーレイ初回特典に付いている映像で松潤が同じ趣旨のことを発言していて、激しく同意した

*14:「Are You Happy?」2016収録曲

*15:コンサートのパンフレットより

*16:「Dream "A" live」2008収録曲

*17:「Gimmick Game」

*18:当然心当たりはない

*19:Twitterトレンドより

椎名林檎 / 私が大好きな音楽

毎日通勤途中に音楽を聞いている。

趣味が多い*1人間だが、人に聞かれた時、とりあえず答える趣味は音楽だ。聞きもするし、弾きもする。

特に聞く側はハマると長く深いタイプ。そして頼まれもしないのに周りにも啓蒙するタイプ*2なので、ここでもいくつか紹介したい。今更紹介するまでもない程売れているアーティストばかりなのだが、個人的な出会いやツボをポイントに、気ままに書き綴ろうと思う。今回は林檎さん*3

 

目次

  • きっかけ
  • 初めて聞いたアルバム
  • 選び抜いた好きすぎる5曲
  • ライブ
  • これから

 

  • きっかけ

林檎さんを好きになったのは高校時代。当時の私は遅れてきた中二病*4というか、嶽本野ばら*5桜庭一樹*6などを好んで読み、その他嗜好もどこかそちらに寄っていた*7。そんな私を見て友人が勧めたのが林檎さんだった。それまでは、「本能」のMVからか、過激な感じの人なのかなあと思っていた。

 

  • 初めて聞いたアルバム

 

すべりだい

すべりだい

初めて聞いたのは「私と放電」だ*8。一曲目の「すべりだい」。曲に纏わるエピソードでクスッと笑った記憶がある。あんなに耳に残る、素敵な歌詞なのに。あるある、と共感したのは「リモートコントローラー」*9。「迷彩」のMVは当時の私の嗜好ドンピシャだ。CDを借りた翌日には、他の音源を探し回った記憶がある。こうしてまんまと友人に布教された訳である。*10

 

  • 選び抜いた好きすぎる5曲

「眩暈」

イントロから私の脳裏に美しい景色が広がるのを感じる。初めて聞いた時から今までずっと色褪せない。私のイメージは、光が差し込む昼間の草原だ。その上を飛ぶプロペラの音。明るく美しいのに、どこか残酷な曲。

「闇に降る雨」

何と言っても冒頭のストリングス。タイトルの通り、暗い夜、斜めに刺さる雨のように聞こえる。雨夜の静けさの中で、確固たる意志だけが光って見える曲。

「丸の内サディスティック」

社会人になるとより分かる歌詞。19万も持ってないOLは私だ。初めて林檎さんに出会ってから数年時が経ち、大人になった。この歌詞に共感できるようになったなんて、歳を取ったなと思う。

「翳りゆく部屋」

正確にはカバー曲。松任谷由実のカバーアルバムに収録されている。最後のサビのアレンジが最高に良い。原曲も好きだが、個人的には林檎さんver.が好みである。

「人生は夢だらけ」

初めて行ったライブ(後述)で、この曲を歌っている林檎さんを見て号泣した。毎日同じことの繰り返しで、夢も希望もない。そう人生を諦めて行くのか、或いは希望を持って行くのか。次の日を前向きに迎えられる曲。

 

  • ライブ

実はライブに行ったのは昨年、2018年だ。会社の先輩が林檎班に入っていて、厚意で私の分のチケットも取ってくれた。

ライブ冒頭、「本能」さながらガラスを割って林檎さんが登場するのがエモすぎた。その後も終始感動。「林檎さんって本当に実在しているんだ」とか、馬鹿みたいなことを思い、「この曲をやってくれるんだ」と涙し、白い肌が透き通るように綺麗で、目が離せなかった。

先述の通り、私が林檎さんを聞き始めたのは高校生の頃だが、当時はライブに行く発想すら無かった*11。当時聞いていた曲は、今となっては「昔の曲」と表現されることも多い。

その時から繰り返し曲を聞いて温めていた期間が約7〜8年、すっかり大人になって、自分で稼いだお金で行ったライブだからこそ、特別な空間だった。

 

  • これから

新曲が出ると知れば聞くだろうし、ライブも日程が合うならきっと行くだろう。でも私にとっての「椎名林檎」は常に最新情報を追い、アップデートを欠かさない…という位置付けのアーティストではない。優先順位が低いという話では無くて、かなり上から目線だとは思うが、「楽しみたい時に、楽しむ」ような、そういう付き合い方をしたいのだ。今となっては一番長く愛している女性アーティストだからこそ、これからも味わうように、林檎さんの音楽を楽しみたいのだ。

 

*1:が浅い

*2:語らせると止まらないのは自覚があるので相手は一応選ぶ

*3:と私は普段から呼んでいる。

*4:揶揄する意図はない

*5:ロリヰタやおろちなど

*6:少女七竈と七人の可愛そうな大人GOSICKなど

*7:ロリータっぽい黒レースの服を好むなど。因みに当時の写真を見るとあまり似合っていない

*8:確か当時丁度リリースされた

*9:しかしこんなに格好良い曲になるのは流石だ

*10:余談だが、「林檎さんが好き」と言うと少しだけ、大人になったような気がした

*11:アルバイト禁止で自由に使えるお金が少なく、何より片田舎から都会に出て行くのが怖かった

泣き腫らした卒業前夜

3月初旬、高校の卒業式を控えた前日の晩。中高5年間付き合っていた彼氏に振られた。しかもメールで。

今から10年程前のことだ。

あれから色々なことがあったのに、この時期が来るとやはり思い出す。

今思うと、それはそれは健全なお付き合いだった。学校では周囲に冷やかされるのが照れ臭かった。廊下ですれ違う時*1、互いに気がついていても、気にしていない風を装った。そのくせ一緒に通っていた地元の学習塾では授業中も構わずお喋りをし*2、「どういうつもりでここに来ているのか」と講師に咎められた。たしかに、御尤もだ。そうして怒られたことをネタにして、いつも一緒に帰った。手を繋いだり、たまにはキスをしたり。

高校3年の正月明け、センター試験があった。プレッシャーに弱い私はあまり成果が残せなかった。センターでこんな点数*3では本命に受からない。当時の私はここで心が折れて諦めたのだと、大人になった私は知っている。実際、その後の勉強は身が入らず、受験した某国立大には前期も後期も見事に滑った。そして点数開示を請求することは、惨めさを上書きするようなものだと分かるほどには、圧倒的力不足で、落ちた。

しかし彼はなんとそんな私よりも出来が悪かった。センター試験後、毎日泣いていた私のそばで、彼は何も言わなかった。ただ黙々と勉強をしていた。もうダメだ、絶対受からない。そう横で喚いている彼女の横でよく勉強が出来たなと思う。よく、怒らないでいてくれたなと思う。

中学の頃の私たちはそれなりに成績が良く、生徒会の役員を務めるような、なんというか「先生の覚え麗しいタイプ」だった。そのまま、地元では名の通った、いわゆる進学校に入学した。

しかし高校は大体同程度の学力層が集まるわけで、その一定層の中にあって私たちは飛び抜けて出来るわけではなかった。それでも沈み込まないよう、膨大な課題を前に毎日勉強し続けた。

きっと私よりも彼の方が先に埋もれたと思う。ある時から彼は努力を辞めたのか、あるいは努力が追いつかなくなった。赤点を取って追試を受けていたし、補習を受けていたこともあった。

そんな彼を、私は残念に思った。賢い人が好きだったのだ。私は知らないことを知っている人が魅力的に見えるのだ。そんな賢い人が、私を好きでいてくれることが好きだったのかもしれない。でも彼は埋もれてしまった。

一方で優越感もあった。少なくとも、私は彼よりも出来ている。まだ、追いついている。

そんな気持ちが透けて見えていたのかもしれない。彼の横で泣いていたあの頃、「そんな落ち込まなくても、俺より出来てるじゃない」その言葉を欲していたことが。

でも彼は何も言わなかった。ここが人生での頑張りどころであるかのように*4、脇目も振らず懸命に勉強していた。それでも、彼も第一志望には受からなかった。

卒業前夜に彼からメールが来た。いつもの他愛ない内容だと思ったら、思いもよらない言葉が書いてあった。

「別れてください」

いつか来ると思ってたことがついに来たな、と冷静に状況を俯瞰する私がいた。

頑張っている時に足を引っ張るような奴は私だって付き合いたくない。まして、相手が自分を見下した上で足を引っ張ってくるなら尚更だ。彼は先の言葉に続けてこう書き添えた。

「あなたならもっといい男を捕まえられる。」

そうなのだ。青春の只中にある数年間を共に過ごしたこの人が、次第に理想の男性ではなくなってしまったと確かに思っていた。彼はやっぱり気づいていたのだ。

でもそういう大事なことってメールで言うもの?私たち何年付き合ったと思ってるの?何でも話せる親友のような恋人だった*5。いきなり別れを告げられて、いい男を捕まえられると言われても。いい男って?その言い方はズルかった。何も気付かないフリをして、その言葉で最後に突き放すのは。

数年付き合って振られた。しかもメールで。しかも卒業式の前日に。

明日はきっとみんなでたくさん写真を撮るはずだ。でも目が腫れて酷いものだろうな。卒業式に涙は付き物かもしれないが、流石に登校前に泣き腫らしている人はいないだろう。恥ずかしいな。

彼氏と親友を同時に失った喪失感。そしていつしか心の奥底で見下していた、それに気づいていても何も言わなかった、優しい彼に振られたことで傷ついたプライド。これだけ長く付き合ったら、いつかは結婚するのかもと、女子高生の私は都合よく考えていた。でもその未来はもうない。全部自業自得だった。

泣こう。卒業式の明日もきっと校舎のどこかで彼とすれ違うだろう。気にしていないフリをするんだ。でも泣き腫らした私を見て、少しでも彼が何か感じてくれたらいい。

 

あれから10年程経ち、その間彼から連絡が来ることもあった。復縁を望んだ連絡も。文脈から、良い関係のまま当時を終えられたと向こうは考えているらしいこと*6、振るには惜しい女だったと思っているらしいこと*7が伝わり、その時少しだけ安心した*8。でも返事はしなかった。また彼に振られて傷つくのが怖かった。ここ数年連絡がないと思ったら、彼は職場の人と結婚したらしい。

私も大学時代から付き合っている彼がいる。きっと結婚すると思う。

 

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今週のお題「卒業」

 

*1:久しぶりに「廊下」という単語を使った

*2:同じ学校の生徒が少なかった

*3:あんなに1点を追い求めていたのに、今となっては点数すら覚えていない

*4:実際そうなのだが

*5:と思っていたのはきっと私だけだったんだろうけど

*6:少なくとも数年後に復縁を望む程度には

*7:実際、大学に入って色々女磨きし、だいぶ垢抜けたと思う。まあそれも自分で言うのは何だが

*8:もしかしたら周りに恋愛対象がおらず、「元カノは俺のことまだ好きだろう」的な、所謂安牌に思われた可能性は十二分にある。この一文に注が多いのは自覚している